知っておきたい!職場のハラスメントと対処法

一向に無くなる気配のない職場のハラスメントの問題。ほぼ毎日のように業種を問わず様々な企業のハラスメントがメディアに取り上げられていますね。

急速なグローバル化、価値観や働き方などが多様化する中、沈静化しないこの社会問題に対する批判や増加する相談を受け、ようやく国も「パワハラ防止法」を2020年から施行するようです。

一概にハラスメントといっても昨今驚くほど多くの種類のハラスメントが存在します。働いている中で「これってハラスメントだよね?」とふと疑問に感じるケースは結構あるのではないでしょうか。そこで今回は知っておくべき職場のハラスメントと対処法をご紹介します。

厚生労働省は「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とパワハラを定義しています。

「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景」にした者が加害者として該当するとあります。上司、先輩はもちろんのこと、知識や経験の差といった職務上の関係も含まれ、同僚、部下などからのパワハラも当てはまります。要は反論などができない立場につけ込んでパワハラを行う者すべてということになります。

「業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とあります。客観的な判断が難しいところですが、厚生労働省はパワハラを6類型で示しています。

  • 身体的な攻撃・殴るなどの物理的な暴力行為など
  • 精神的な攻撃・人格の否定など
  • 人間関係からの切り離し・無視やチームからの仲間はずれ
  • 過大な要求・遂行不能な業務の要求
  • 過小な要求・経験に見合わない程度の低い業務の要求
  • 個の侵害・プライベートについての指摘や公表

セクハラとは男女雇用機会均等法では「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われそれを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること。職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること」と定義されています。この定義での「職場」とは会社内、取引先、出張先、飲み会などの業務の延長と考えられる場所でのセクハラも含まれます。

セクハラをする会社内のすべての人が該当します。また取引先や顧客も対象となり、たとえ同性であっても性的な発言により被害を与えた場合は加害者に該当します。相手にそのつもりがなくともセクハラを受けた側が相手の言動をセクハラと受け止めればセクハラとなります。また女性のみではなく男性、LGBTも被害者、加害者の対象となります。

  • ボディタッチをしようとした、またはデートや食事に誘ったが断られ、腹いせに減給、降格、解雇、嫌がらせなどを行う。
  • 男性が女性(女性が男性)の体に触ったり、いわゆる「下ネタ」などの卑猥な言動を与える。
  • 本人に対し性的指向を指摘することや他の同僚などにそれを勝手に公表する。
  • デートや食事の誘いなど業務上必要ない事柄に関するしつこいメールを送る。

マタハラは男女雇用機会均等法では

・産前休業

・妊娠中及び産後の健康管理に関する措置

・軽度な業務への転換

・法定労働時間を超える労働時間、時間外労働、休日労働時間の制限

・育児時間の確保

・危険有害業務の就労制限

などが規定されており、出産、育児、介護を阻害する言動を制限しています。

出産や介護により会社が不利益を被っているなど、妊娠、育児、介護を否定する言動(嫌がらせ、いじめ、差別など)が禁止されています。

出産する女性だけではなく、育休を取得する男性、介護に従事する人に対するマタハラも対象となります。妊娠、出産、育児、介護を阻害する行為全般を受ける者が該当します。

  • 業務が忙しいのに産休、育休、介護休を取るのはけしからんなどと休暇を取ることを否定する言動
  • 男性なのに育休を取るのはありえないなどと男性の育休取得を否定する言動
  • 育休後に同条件で職場復帰が出来ないなど育休取得を阻害する
  • 妊娠による体調不良やできる業務の制限に対する批判やいじめ、嫌がらせなど

ハラスメントが会社からなくならない要因として考えられるのは、会社の古い体質と急速に多様化する人々の仕事や生活に対する考え方とのギャップです。

ジェンダー、働き方、育児などに対する人々の考え方はますます複雑化しており、従来あたりまえとされてきたの仕事文化はもうとっくに崩れ去っています。ハラスメントが会社内で起きていることに経営者が全く気づいていない、または薄々気づいていても古い慣習によってこれまで地位や利益などが保たれ、有利に機能していた為、今更会社の風土を変えることができない会社が多く存在します。急速な社会の変化と会社の対応のスピードに大きな差があるのです。

ハラスメントが会社にとって大きなリスクであるという認識が低く、対策を行わない会社は結果的に

  • ハラスメントにより人材が離れる
  • それに伴う従業員1人の業務量の増大
  • 従業員のストレスの増大
  • ストレスのはけ口としてハラスメントの横行

という悪循環に陥ってしまいます。また辞めた社員や内部社員からブログ、SNSなどのメディアに会社の悪評が広まるのも大きな損失と言えるでしょう。ハラスメントを改善しない会社は将来的な少子高齢化で今後さらなる人材不足、悪循環に陥るはずです。

また行政がハラスメントに対する議論、指導、法整備などをしっかりと行って来なかったことも会社側がハラスメントの存在を重視せず積極的にこの問題を取り組まなかった要因です。行政の取組みで「ハラスメントは絶対にあってはならない」という事を社会にしっかり周知し、ハラスメントがないことが当たり前の社会にすべきです。

ハラスメントにあたるような言動を受けた場合、まずその証拠を残しておくことが大切です。ハラスメントは突発的なに起こりやすいので記録が難しい面もありますが、暴言などはボイスレコーダーで記録し、メールなどでの嫌がらせ、セクハラなどもデータや画像などで記録を残しておきましょう。

いつ、どこで、誰による、どのようなハラスメントを受けたのかが明確にわかる記録を残しておきましょう。

現在多くの企業は社内にハラスメントの相談窓口を設けています。相談窓口が設置されている場合はそちらに問い合わせてみましょう。もし窓口がない場合は上司、人事の担当者にハラスメントがあることを相談してみましょう。

どちらに相談する場合もいつ、どのようなハラスメントを受けたのか、ハラスメントの加害者に対する希望などを明確にして担当者に伝えることが大切です。

その後、会社の判断によって

・加害者への厳重注意

・加害者の懲戒処分

・加害者の減給

・加害者の他部署への配属

などの措置を会社がとる可能性があります。

もし社内にハラスメントの相談窓口がない、または経営者や上司からハラスメントを受け誰にも相談できない、社内の窓口に相談したけどハラスメントが解決しなかった場合は外部の相談窓口に問い合わせましょう。

各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されています。無料で直接または電話で相談が可能です。

差別、パワハラなど様々な人権問題の相談を受け付けています。法務局、地方法務局につながり秘密厳守で法務局職員が受け付けます。

法務大臣の認証を受けた「かいけつサポート」・裁判外紛争解決手続(ADR)を行っている民間事業者を紹介しています。

法務省所管の公的な法人。トラブルを解決するための情報、法律相談、弁護士の紹介などを無料で行っています。

ハラスメントの問題は人間関係から生じ、線引きが難しいケースもあるため判断に躊躇してしまうところがあります。けれどハラスメントかどうかを判断するのはあくまでハラスメントを受け傷ついた側です。ハラスメントとして認定されるかはその後の裁判所などの判断となりますが、まずは勇気を出して加害者が声を上げなければ会社やハラスメントの加害者はそのことに気づかず、ハラスメントがまるで無かったかのよう扱われてしまいます。

会社はハラスメントのない環境作りに積極的に取組み、従業員も職場に阻害などのリスクなく主張できるようにな社会である必要があります。国のこの問題改善に対する本気度、新しい防止法による効果などはまだ未知数ですが、基準や厳罰などをより明確化し、法整備も含めハラスメントのリスクを示すことで抑止やクリーンな職場環境作りに繋がるはずです。

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