日本は残業が多い?日本から残業が無くならない理由とは

海外から来た人たちからは「日本人は働き過ぎ、なんでそんなに毎日残業をするのか」と疑問を持たれます。

ワークライフバランスが盛んに話題になっているなか、日本社会から残業が無くならない理由について考えます。

厚生労働省は毎月「毎月勤労統計調査」を公表しています。この統計から賃金や労働状況などを知ることができます。

引用:厚生労働省 平成30年毎月勤労統計調査特別調査の概況

この統計によれば平成30年度の全業種の1ヶ月の平均時間外労働時間は約11.7時間とされています。この統計の月平均出勤日数は18.6日なので、これを元に計算すると1日平均約38分の残業となります。

これを見れば1日の平均残業時間は約40分、「日本って意外と残業時間少ないじゃん、良い感じだよね」となりますが、実際の労働状況はどうでしょうか?

この統計にはサービス残業は含まれていませんし、「ほとんどの人が1時間以内の残業で帰宅している」という結果は一般的な社会状況から少しかけ離れています。

ホワイト企業や役所などを除いて、ほとんどの人は1日1~2時間は残業しているのではないでしょうか。月平均では20~40時間の残業です。また会社や業種によっては1日2時間以上の残業が当たり前のところもあります。

現在の労働基準法では残業の上限は月45時間、年360時間、繁忙期などの例外として月100時間、年720時間と定められています。

もし1日3時間残業すれば、20日出勤日数として月の残業時間は60時間になります。例外としての残業に含めたとしても年間の最大残業時間は720時間なので、1日3時間の残業が法で定められた残業の最上限と言えます。もしこれを超える残業が毎日ある会社はかなりブラック色の強い企業です。

みなし残業は固定残業とも呼ばれます。あらかじめ雇用条件に月の残業時間と手当てが明記されており、残業代が手当てや給料に含まれています。

もし残業時間が月で決められた残業時間よりも少なくても規定の残業代は支払われるため、一見労働者に優しい制度に見えます。しかし、実際は月の残業時間は雇用条件で決められたものより多いことがほとんどで、条件の残業時間を超えた残業はサービス残業化してしまいます。

残業をすることを前提とした働き方を助長し、長時間労働やサービス残業の増加につながる制度。雇用条件にみなし残業が書かれた会社のほとんどはまず定時に帰ることはできず、サビ残が発生する可能性が大いにあります。

ブラック企業の象徴の一つサービス残業。会社は無理な仕事量や無言の圧力をかけ、無給で残業をさせます。まるで帰宅したかのように扱い働かせ続けます。これは完全に違法行為です。

勤怠は定時上がりということにし、会社側は「残業している社員は上司の指示ではなく勝手に会社に残っている」「仕事が終わらないのは社員が怠けているから残業代は出さない」と残業について完全に無視を決め込みます。

欧米では労働者が最も重要視する点は家族や自分のプライベートです。無理に残業して家族や自分のプライベートの時間を削るようなことはしません。

周りが残業しているからなんとなく残業するなんてことは絶対にありませんし、会社、上司、同僚などが定時で帰り難い雰囲気を作ることはまずありません。上司も従業員もさっさと帰宅します。就業時間内に自分の任務に集中して成果を出せば文句は言われません。

また、残業は「仕事を頑張ってる」「会社に貢献している」アピールにはならず、逆に毎日残業していると「仕事できない」「プライベートが充実していない不幸な人」アピールになります。きっちり時間内に仕事をして就労時間が来たら帰り、家族との時間、友人や恋人と過ごす時間を大切にします。とても当たり前のことですが、日本では当たり前になりませんね。

もちろん欧米人全てが残業を全くしないわけではありません。本当に今日中にしなければならない仕事が残っていれば会社に残る場合もありますが、日本の様に毎日必ず2~4時間残業するようなことはありません。仕事が残ってしまった人は自宅に持ち帰ってする人がほとんどでしょう。

残業だけ見れば欧米最高な感じですが、実際は欧米の会社は日本のように従業員を育てるような風土はありませんし、仕事で結果が出なければ、速攻で突然解雇になります。会社は結果を出せない従業員に容赦ありません。その代わり従業員も会社に不満があれば速攻で辞めて転職します。残業などの労働環境や年齢、性別も含め欧米の会社と従業員は対等な関係といえます。

確かに会社からすれば何も言わずとも残業してくれる社員はありがたいはずです。さらにはサービス残業なんて経営者からすれば最高です。ただで働いてくれるんですからこれ以上の人件費削減はありません。

会社からすれば成果や結果よりも長時間働きまくる人を「偉い、よく頑張っている!」と評価した方が、みんな残業するようになるため、なかなかサービス残業を含めた残業文化が無くなりません。会社側は得するので変えようとしません。

高度成長期の働けば働くほど儲かって、給料も上がっていた時代の労働文化をまだ引きずっているダメな会社が多いのが現状です。長時間労働が常態化している会社は適切な人事評価ができておらず、従業員のワークライフバランスを重要視していません。

会社によっては給料が安いため、生活のために仕方なく残業する人も多くいます。生活のために仕方ない部分はありますが、特に今絶対に終わらせなければならない仕事でもないのに、ダラダラと会社に残って残業代を稼いでいる人も多くいます。また会社や上司もその状況を黙認しているケースも多々あります。

仕事が好きなことはとても重要です。しかし仕事が唯一の趣味になっている上司だと部下はとても苦労します。上司のみが趣味的に長時間労働するのは全く問題ないのですが、その働き方を部下や同僚にも無言で強要するような雰囲気を作っていることに問題があります。やはり上司が深夜まで毎日残業していれば「お先ですー」とはなかなか言い難いものです。

上司が就業時間内にすごい集中力で仕事をこなし、きちんと定時に帰り家族や趣味の時間を大切にしている姿を部下が見れば、そんな上司をお手本にしっかりと効率的に働く好循環につながるはずです。

自分が長時間働くような教育されてきたから、部下もそうやるのが当たり前という思考停止の上司のいる会社も危険です。現代社会はものすごいスピードで変化しており、人々の価値観なども急速に多様化しています。20年前までは良いとされていたことも今の時代にNGなことは多々あります。

例えば、教育としての体罰やパワハラが当たり前だった時代の体育会系文化は今の時代には全く合わないものになっています。価値観、働き方、社会の変化や多様性に対応できない会社がまだ多く「残業=当たり前」という時代にそぐわない固定概念から脱却できないのも残業がなくならない理由の一つです。

定時で始まり定時で終わるのが本来の労働の形です。残業は当たり前ではなく、本当に必要に迫られた場合にのみ行うものです。日本から無駄な残業や長時間労働を無くすには残業が当たり前になってしまっている慣習を根本的に変える必要があります。

会社は業務の効率化を徹底し、残業を前提とした業務分担を見直す必要があります。もちろん従業員も就業時間内に高いレベルで業務を完了できるように努めることが重要です。またサービス残業はもちろんのこと、長時間労働に繋がるみなし残業も無くすべきでしょう。

会社と従業員が「残業させない・しない」が当たり前の意識となり、長時間労働がない社会になるように願うばかりです。

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